「君たちはどう生きるか」中学生のうちに一度は読んでおきたい名著

「君たちはどう生きるか」
いやあ、大変売れているようです。どの本屋に行っても表紙の少年の目に射すくめられます。
「君たちはどう生きるか」は岩波文庫で長年出版され、決して岩波少年文庫になることもなかったのに、いきなりマガジンハウスから漫画版の登場ですから、ちょっと驚きです。おまけに宮崎駿の次回作はこの本が何らかの形で扱われるというニュースも飛び込んできて、ちょっと読まないわけにはいかないぞという雰囲気ですね。

中学2年生の「コペル君」が叔父さんのノートによって自己認識と社会認識を深めていく物語です。中学生に向けて書かれた物語ですが、大人が読んでも叔父さんのノートの言葉には胸を打つものがあります。どう生きるかという一見道徳的なテーマは、深い自己認識と社会認識にもとづいて考えなければならないのですね。ときには歴史の流れの中に自己を見出す視点も。

わたくし校長も、二十歳のときに人にすすめられて読んだことがあります。
それ以来手に取ることはなかったのですが、昨今のブームに乗じて、もう一度読んでみようと思っています。
たしか、叔父さんが英雄について、ナポレオンについて語るノートがあったと思います。感動するところなのですが、同時に少々違和感を感じる部分だったことを覚えています。思うに、この教養書は、日中戦争が始まる1937年に書かれたものです。軍国主義の台頭の中で、当局に睨まれずにこの本を出版するための工夫の部分だったと今は考えているのですが・・・。「君たちはどう生きるか」は戦時下では発刊できなくなるはずです。それでもこの書物を読んだ学生の多くが、戦争に駆り出されたことを考えるとき、戦争の非人間性を痛感します。今日は奇しくも太平洋戦争の開戦の日。