「父さんの手紙はぜんぶおぼえた」 タミ・シェム=トヴ著

父さんの手紙はぜんぶおぼえた 岩波書店
『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』をニュートン図書館に加えました。
第二次世界大戦のさなか、ナチス占領下のオランダが舞台です。主人公のリーネケは、ユダヤ人の女の子。ナチスの弾圧を恐れ、自分の本当の名前を隠し、家族とはなれ、遠い村の医者のもとでかくまわれ孤独な窮乏生活を送ります。ひそかに届く父さんからの絵入りの手紙がリーネケの心を支えます。

これは実話に基づく物語です。奇跡的に捨てられずに残った父からの手紙がそのままフルカラーで掲載されています。その絵の可愛らしいこと美しいことそして面白いこと! この絵こそがこの本の価値を高めています。ユダヤ人であることがわかれば収容所に送られるという切羽詰まった時代に、このような明るく楽しい手紙をかける精神とはいかなるものなのでしょう。親の愛情の深さと言ってしまえばそれまでですが、危機の時代に生きるものの強さと崇高さを感じます。

見つかってしまったら大変なことになるので本来は読んだら焼却するべき手紙なのですが、リーネケをかくまった医師は、これを慎重に厳重に隠します。そのおかげで僕たちは戦争をめぐる貴重な物語を読むことができたのでした。生徒のみんなにオススメの一冊。

父さんの手紙はぜんぶおぼえた 岩波書店

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