読書週間:『ボクの学校は山と川』矢口高雄著

『ボクの学校は山と川』矢口高雄著 講談社文庫

『ボクの学校は山と川』矢口高雄著 講談社文庫

子ども時代にどんなマンガを読んでいましたか? この質問にどうこたえるかで、おおよその年齢もわかってしまうわけですが、子どもの頃夢中になったマンガについてはやはり何か語りたくなってしまうわけで、そんな各人の思い入れを聞くのは楽しいものです。私の場合、真っ先に思い出すマンガは『釣りキチ三平』です。小学生の頃は、三重の山奥で育ったものですから、放課後は釣竿を自転車にくくりつけて、川や池で釣りばかりしていました。『釣りキチ三平』はそんな子ども時代のガイドのような本でした。もっとも中学になるとマンガは卒業しましたが、高校で美術の教師が矢口高雄の画力をいたく褒めていたため、改めて絵を見るために読み返したこともありました。

矢口高雄がマンガだけでなく文章も書くということはもっともっと後で知りました。何かのきっかけで「カジカの夜突き」というエッセーを読んだのでした。とても良い話で、環境破壊ということを私たちは知識として知ってはいますが、本当に切羽詰まったものとして認識するためには、具体的で個人的な経験が必要なんだということを教えられました。このエッセーが収録されているのが『ボクの学校は山と川』(講談社文庫)です。矢口高雄(それはつまり釣りキチ三平でもある)の育った秋田の山と川を舞台に少年時代の筆者のワンパクで愉快で生き生きとしたエピソードが詰め込まれています。「百日咳」という短編漫画も収録されており、おとなにとっても感動的な一冊となることはまちがいないでしょう。
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